介護の仕事における本当のやりがいについて

介護の仕事に対する世間一般のイメージは、ネガティブになる傾向があるかもしれません。
実際に介護職のニーズは高いものの、勤務条件や職場環境の厳しさは、離職率の高さからも窺えることでしょう。
介護現場では食事や入浴あるいは排泄に至るまで、利用者の日常生活に関する、あらゆる部分をサポートしなければなりません。
そのため体力はもちろん、忍耐強い精神力も求められます。
特に心身の不自由な利用者が転倒や体調不良にならないように、常に注意力や集中力を切らさずに介助する必要があります。
しかしそんな中でも、介護職だからこそ体験できる、やりがいや充実感があるのも確かです。
「介護」という行為は、身体上又は精神上の障害が原因で日常生活に支障をきたしている人に対し、その人にとって生活で足りない部分や欠けている部分を補うことです。
同時に、その人らしい生活を維持し継続させることも目的とします。
そして「介護」という行為を成立させるためには、究極的には利用者と信頼関係を築けるか否かにかかっています。
実は介護の仕事の本当のやりがいも、この信頼関係を築いた時こそ実感できるものと言えるでしょう。
ただし利用者との信頼関係を築くことは、そんなに簡単なことではありません。
介護技術の熟達はもちろんのこと、利用者の個性から生活パターンあるいは社会関係などを十分に把握し、それに共感する姿勢が不可欠になります。
このような共感的理解をマスターするには、利用者一人ひとりに時間をかけながら、長い介護経験を積み重ねて体得するしかありません。
したがって介護の仕事に最初からやりがいを求めるというのは、あまりにも拙速と言わざるを得ないでしょう。